最近のトラックバック

文化・芸術

初歌舞伎! その2

この日の昼の部は四公演、僕は最初の二つを見ました(これで料金¥1,100!)。まずは勘三郎さんのご子息、勘太郎、七之助兄弟による「爪王」。実は「歌舞伎を見たい!」と本気で思うようになったのも、以前このお二人による公演を見たときにその舞踊の見事さに圧倒されたからだったので、この公演は楽しみでした。この作品、もともとは動物文学の作家である戸川幸夫の原作を、あの平岩弓枝が脚色したものに振付をしたという舞踊劇だそうで、歌舞伎の世界でもこんな風に新しいものを(とはいえ、この作品も初演は昭和43年だそうですが)取り入れているようです。
「爪王」のストーリーは単純で、ある日鷹匠のもとに村を荒らす悪狐退治の依頼が来ます。そこで彼の鷹である「吹雪」が退治に出かけるのですが、老獪な狐の前に破れてしまいます。どうにか瀕死の状態で鷹匠のもとに戻った「吹雪」は、傷が癒え、成長するとともに再度戦いに挑み、今度は勝利するというもの…って、これをどうやって歌舞伎でやるの?!と思いますよね(笑)。それもこの作品は舞踊を中心としたもの。正直幕が開くまではどんなものであるか想像も出来なかったのですが、幕が開いてみるとさらにびっくり。舞台には鷹匠らしき人と、純白の着物をまとった美しい女性が…。どうやらこの女性こそ、七之助さんのようです(以前ご兄弟の公演を見たときも、勘太郎さんは男形、七之助さんは女形でした)。最初のうちはとまどいましたが、どうやらその「吹雪」という鷹は女性のイメージで演じているようです(実際鷹匠によって飼われる鷹の多くは雌なんだそうですが)。そうなると対決する狐は…。そう、そちらを勘太郎さんが男形で演じています。その戦いのシーンなどはまさにこの二人による舞踊で表現されるわけですが、これが戦いと言うよりは男女の駆け引きのようでとっても官能的。以前お二人の公演を見たときは勘太郎さんの舞いの見事さにノックアウトされたのですが、今回は完全にこの七之助さんの鷹に僕はノックアウトでした。一度目のまだ初々しいそしてけなげで痛々しい「吹雪」、そして二度目に成長して(実際ここで衣装が若干変化するところもドラマチック!)悪狐を退治する際の、「大人の女性」とでもいうべき高貴さ厳しさ。その演じ分けが見事でした!
30分程度の公演のあと、休憩が20分ほど入ります。一幕見以外の席のお客さんはこの間、歌舞伎座内をうろうろできるようなのですが、われわれはそこには入れません(涙)。飲食店やみやげもの屋などいろいろあるそうなのですが…。
次の演目は勘三郎さんによる「俊寛」。平家物語でも有名なエピソードですが、近松門左衛門によるこちらのお話はドラマチックにアレンジされています。ここはWikipediaの力を借りましょう(笑)。
〔あらすじ〕
鹿ヶ谷の陰謀を企て平家転覆を企んだ俊寛・成経・康頼の三人は、鬼界ヶ島に流され早三年。彼らの流罪には刑期がなく、死ぬまでこの島にいなければならなかった。食べるあてもなく、たまにくる九州からの船に硫黄を売ったり、海草を食べたりして食をつないでいた。物語は、この地に住む海女千鳥と結婚することを成経が打ち明けるところから始まる。島にきて以来の絶望的な状況の中起こった、数少ない幸福な出来事を歓びあう三人と千鳥。そこへ都からの船が現れ、中から上使の妹尾が降りてくる。妹尾は彼らの流罪が恩赦されたことを伝える。建礼門院が懐妊したため、平清盛が恩赦を出したのだ。夢かと喜びあう三人だったが、妹尾が読み上げる赦免状の中に、なぜか俊寛の名前だけ無い。俊寛は赦免状を手に取り何度も内容を確認するが、やはり自分の名前だけが見当たらない。 俊寛は清盛から目をかけられていたにも関わらず裏切ったので、清盛の俊寛に対する怨みは深く、それゆえ俊寛だけが恩赦を受けられなかったのだ。そう妹尾が憎々しげに伝える。喜びの後の突然の暗転に打ちひしがれて俊寛は泣き叫ぶ。だがそこへ一人の上使の基康が船から降りてきて、俊寛にも赦免状が降りたことを伝える。俊寛にだけ恩赦が与えられないのを見兼ねた平重盛が別個に俊寛にも赦免状を書いていたのだ。これで皆が帰れる。そう安堵して三人が船に乗り込み、千鳥がそれに続こうとすると、妹尾がそれを止める。妹尾がまたも憎々しげに言うには、重盛の赦免状に「三人を船に乗せる」と書いてある以上、四人目に当たる千鳥は乗せることはできないというのだ。再び嘆きあう三人と千鳥に、妹尾が追い撃ちをかける。妹尾が言うには、俊寛が流されている間に、清盛の命により俊寛の妻の東屋が殺されてしまったのだ。しかも東屋を斬り捨てたのは妹尾であるという。都で妻と再び暮らす。そんな夢さえも打ち砕かれた俊寛は、絶望に打ちひしがれる。妻のない都にもはや何の未練もなくなった俊寛は、自分は島に残るから、かわりに千鳥を船に乗せてやるよう妹尾に訴える。しかし妹尾はこれを拒絶し、俊寛を罵倒する。思い詰めた俊寛は、妹尾を斬り殺す。そして妹尾を殺した罪により自分は流罪を続けるから、かわりに千鳥を船に乗せるよう、基康に頼む。こうして千鳥の乗船がかない、俊寛のみを残して船が出発する。しかしいざ船が動き出すと、俊寛は言い知れぬ孤独感にさいなまれ、半狂乱になる。船の手綱をたぐりよせ、船を止めようとするが、無情にも船は遠ざかる。孤独への不安と絶望に叫び出し、船を追うが波に阻まれる。船が見えなくなるまで、船に声をかけ続けるが、声が届かなくなると、なおも諦めずに岩山へと登り、船の行方を追い続ける。ついに船がみえなくなる。そして俊寛の絶望的な叫びとともに幕となる。

さきほど「吹雪」を演じていた七之助さんが、今度は千鳥を演じています(ちなみにその夫成経は勘太郎さん)。その演じ分けが何しろ見事!さきほどの高貴さとはうって変わって、少々俗っぽくその分情熱的でおてんばな感じの千鳥がそこにはいました。
そうそう、肝心の勘三郎さんの演技、これはもうすごいとしか言いようがありません。船が出ていったあとの半狂乱、そして最後にはそれらすべてを受け入れるかのように静かにたたずむ姿。
ただ、この「俊寛」を見てもっと衝撃だったのは「歌舞伎って難しいものじゃないんだ!」。どうしても「伝統芸能」と言うイメージが先行してしまうのですが、近松門左衛門によるこの「俊寛」もストーリー自体は単純ですし、舞台の役者もとてもわかりやすくデフォルメされていますので、確かに言葉の問題は多少ありますが、それでも見ていればすぐに分かります。コミカルな場面などもたくさんあって、これなら子供から大人までそれなりに楽しめそう。こんなことを言っては少々語弊があるかもしれませんが、「歌舞伎ってれっきとした(?)娯楽なんだ!」ということを実感しました。その意味では僕もそうでしたが、食わず嫌いの人が多すぎるような気がします。とりあえず歌舞伎体験してみるとずいぶん印象が変わるはず。その意味ではこの「一幕見」はおすすめかもしれません。

初歌舞伎! その1

昨日は代休だったため、朝からこんな場所へ…。
Dvc00006
最近この近くはさんざん走っていながら(笑)、ここの足を踏み入れるのはもちろん初めて!みなさんご存じの通り歌舞伎座はまもなくその長い歴史に幕を閉じます。その前に一度見たいと思っていて、知人を通じてチケットを取ろうとしたのですが、今月はあの勘三郎さんや玉三郎さんなども出演する有名な演目とのことで、結局取れず(涙)。諦めかけていたところ、「一幕見という当日券がある」との情報をゲット!
歌舞伎の演目は、昼の部・夜の部と分かれていて、それぞれが大体3~4演目で構成されています。通常のチケットは、昼の部・夜の部で区切りとなっていて、良い席だと2マソ円!一幕見席とはその中の一つの幕のみを見る席のことで、その席は歌舞伎座の最上階4階にあり、料金は爆安の一幕¥700~¥1,000前後!僕のような歌舞伎入門者には最適な価格設定です!当日券のみと言うのが難点ですが、逆に言えばこれは当日早く行って並びさえすれば良い席が買えるということ!あ、ちなみにちゃんと座席もありますが二列分のみなので、それ以外は立ち見!立ち見も含めて150人が定員なのでそれを越えるとそもそも入れないことも!
そんなわけでチケットが発売される一時間半前(10時半から発売)の朝9時ちょっと前に歌舞伎座に到着!すでにいかにも常連さんというおばさま方が4人ほどいましたが、それでもこの順番なら間違いなく座れそうです。
Dvc00004

「なんだ、そもそもそんなに並ばないんじゃ…」と思ったら、発売30分前にはディズニーランドのアトラクションの列さながら!もちろんその時間から並ぶのだとおそらく座るのは無理かと…。少なくとも一時間前には並びたいところですね。チケットは入場時にひとり一枚ずつ購入。残念ながら代表者が仲間の分を購入するということは出来ません!「一幕見」とは言っても昼の部の4幕分(この日は昼は4幕、夜は3幕でした)は通しで購入できます。僕はとりあえず二幕分の料金を払って入場。ちなみにたったの¥1,100でした。
お年寄りにはかなり厳しい絶壁のような階段(このあたりも安さの秘密なんでしょう)を上り、入り口でチケットをもいでもらったら、座席へ。あくまで早いもの順ですが、比較的ゆっくり席は選ぶことが出来ます。その席からの眺めはこんな感じ(開演前までは写真撮影OKでした)。
Dvc00007
もっとひどい席をイメージしていたのですが、全然そんなことありません!そもそも思ったほど広くはないので、この場所からも役者の方が「米粒!」なんてことはありません。オペラグラスは持っていったのですが、それほど使うことはありませんでした。むしろ上から舞台全体を見渡せるので、お話の流れがかえってよく分かるほどです。舞台装置の裏側も少しだけ見えて、それはそれで興味深い!やはり常連さん御用達の席なのか、例の「中村家!」などのかけ声はこの席に座っている方が発しているようです。初歌舞伎でありながら、なんだか「常連気分」が味わえるのも良いですね(笑)。

2013年12月
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31        
無料ブログはココログ